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スマホに奪われる「読む力」──本を読めない人が増えている理由と、読書の再発見

スマホに奪われる「読む力」──本を読めない人が増えている理由と、読書の再発見

スマホに奪われる「読む力」──本を読めない人が増えている理由と、読書の再発見

最近、強く感じることがあります。それは「本を読めない人が急増している」ということです。もちろん、私自身もその一人かもしれません。仕事の合間や移動中、家でリラックスしている時間も、気がつくとスマホを手にしている。SNSを眺めたり、ニュースアプリを開いたり、動画を見たり…。一見、情報収集しているようで、後から振り返ると「いったい何を見ていたんだろう」と思うこともしばしばです。

スマホは便利だけれど…

スマホの最大の魅力は、知りたい情報をすぐに手に入れられることです。たとえば、仕事でわからないことがあれば検索すれば瞬時に答えが見つかるし、誰かが要約してくれた記事を読むだけで「わかった気分」になれます。短い文章や動画でサクッと知識を得られるのは、忙しい現代人にとってありがたいことです。

しかし、その反面、スマホで得られる情報は非常に「薄い」ことも多いと感じます。なぜなら、自分が知りたいことしか検索しないからです。他の視点に触れたり、思いもよらない情報を知ったりするチャンスが、極端に減ってしまうのです。

本を読むことの意味

一方で、本を読むことには別の価値があります。本は、単なる情報の集まりではありません。著者の考えや経験、失敗や成功が深く詰まっていて、その人の頭の中を旅するようなものです。本を読んでいると、これまで自分が持っていなかった視点に出会い、世界の見方が変わる瞬間があります。

たとえば、私は仕事でマーケティングに関わっていますが、過去に読んだある経営者の自伝から「数字の向こう側には必ず人がいる」ということを学びました。それ以来、データ分析をする時も、単なる数字ではなく、その背景にある人の行動や心理を想像するようになり、提案の精度が格段に上がりました。これは、検索やSNSの短い記事からは得られない、本からしか得られなかった学びでした。

なぜ本を読めなくなったのか

本を読むのが苦手になった理由は、スマホだけではありません。以下のような要因も大きいと思います。

  • 時間がないと感じる人が増えた
    忙しさの中で、短いコンテンツに慣れた脳は長文を読む集中力を失いがちです。
  • 「要約」で済ませる人が増えた
    YouTubeの要約動画や要約アプリで、本のエッセンスだけをつまみ食いする人が多いですが、それは本の醍醐味を味わうこととは全く別物です。
  • すぐに結果を求める風潮
    「この本を読んだら何が変わるのか?」と即効性ばかり気にしてしまい、腰を据えて読書をするモチベーションが続かない人が多い印象です。

私もつい、読書よりスマホに手を伸ばしがちです。調べたいことを検索するだけで済ませられるから、本を1冊読み切るのが遠い作業に感じてしまうのです。

本を読むことは「インプット」であり「アウトプット」でもある

本の面白いところは、読むだけで終わらないことです。読書はインプットであると同時に、自分の考えを整理するアウトプットのきっかけになります。ある本を読んで新しい知識を得た時、以前読んだ別の本の内容が頭の中でつながる瞬間があります。点と点が線になるあの感覚は、本を読む人にしか味わえない贅沢な体験です。

さらに、読書で得た知識や気づきは、仕事や人間関係にも活かせます。たとえば、商談の雑談で本の話題を振ると、相手と深い話ができることもありますし、著者の事例を引き合いに出すことで説得力が増すこともあります。

読書の時間を取り戻すために

スマホ全盛の時代に、本を読む習慣を取り戻すのは簡単ではありません。けれど、いくつかの工夫で読書時間を確保することは可能です。

  • 隙間時間に5分だけ読む
    最初から30分読むと決めるとハードルが高いので、1日5分でも本を開くことが大切です。
  • 興味があるテーマから始める
    いきなり難しい本は避け、自分が今知りたい分野や趣味に関連した本を選ぶのがおすすめです。
  • 紙の本を持ち歩く
    スマホの誘惑を断つためには、物理的に本を持ち歩くのが効果的です。手に触れるだけでも「読まなきゃ」という気持ちになります。
  • 読み切らなくてもいいと割り切る
    途中でやめてもOK。気楽にページをめくることが習慣化への第一歩です。

私自身も最近、出勤前の5分を読書にあてるようにしました。たった5分でも、ページをめくるうちに頭がスッキリし、1日のスタートが前向きになります。


「本を読めない人が増えた」という問題は、情報が溢れる時代だからこそ起きている現象だと思います。けれど、本にはやはりスマホには代えられない価値があります。私たちがスマホに奪われがちな“深い思考の時間”を、本で少しずつ取り戻せたら、仕事も人生ももっと豊かになるのではないでしょうか。

あなたも、今日5分だけ、本を開いてみませんか。

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