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消費や浪費をしてもいい

消費や浪費をしてもいい

貯金だけでは豊かになれない――資産を生むお金の使い方

日本では昔から「お金を貯める=貯金」という価値観が根強くあります。
給料が入ったら使わずに貯めることは、確かに安全で堅実な方法です。口座の残高が増えると、心理的にも安心しますし、周りからも「しっかりしている人」と思われがちです。

しかし、貯金はお金を守るだけの行為であり、それ自体が収入を生むことはありません。極端に言えば、現金はただそこに置いておくだけでは1円も増えないのです。しかも、インフレが進めば、貯金の実質的な価値は目減りします。

私は昔、まさにこの「貯金至上主義」にとらわれていました。

  • 車は贅沢品だから買わない
  • 旅行はできるだけ避ける
  • 外食は無駄だから控える

とにかく支出を減らすことばかり考えていたのです。確かに口座残高は増えましたが、同時に「お金に働かせる」という発想がゼロだったため、資産形成のスピードは非常に遅かったと今では感じます。


考え方の転換点

あるとき、「消費や浪費は悪」という極端な価値観が間違いだと気づきました。
本当に重要なのは、お金の使い道を「資産になるかどうか」で判断することだとわかったのです。

私が今意識しているルールは、次の2つです。

  1. 消費や浪費をしてもいい。
  2. ただし、収入を生まない負債は絶対に避ける。

例えば、経験やスキル向上につながる出費は積極的に行うべきです。
趣味、旅行、人との交流なども、長期的には人生の満足度を上げ、仕事や投資のモチベーションを高める「間接的な資産」になり得ます。

一方で、ローンや維持費ばかりかかる物――たとえば、高すぎる住宅や、必要以上に高価な車など――は収入を減らし、家計を圧迫します。


「資産」と「負債」の正しい定義

ここでいう資産とは、お金を生み出すものです。たとえば、

  • 株式(配当収入や値上がり益)
  • 不動産(家賃収入)
  • 債券(利息収入)
  • ビジネス(継続的な売上)

反対に負債とは、お金を生み出さず、逆に出ていくだけのものです。

  • 自宅ローン(売却益が見込めない場合)
  • 高額な自動車(維持費や減価償却による価値下落)
  • 高級家電やブランド品(売らない限り現金化できない)

よく「マイホームは資産」と言われますが、実際にはローンの利息や固定資産税、メンテナンス費がかかり、しかも売却時に値下がりしているケースが多いです。金融リテラシーの高い人ほど、「持ち家は資産ではなく負債」という考えを持っています。


日本人が陥りやすい「貯金神話」

日本は世界的に見ても貯蓄率が高い国です。総務省の家計調査によると、2人以上世帯の平均貯蓄額は約1,800万円(2023年時点)とされています。しかし、その多くは銀行預金であり、株式や不動産などの運用資産はごく一部に限られます。

一方で、米国では個人資産の多くが株式や投資信託で構成されています。貯金よりも投資を通じて資産を増やす文化が根付いているのです。結果として、同じ収入でも長期的には米国の方が資産形成スピードが速い傾向があります。


家計を守るための2つの努力

資産を増やすためには、次の2つが必要不可欠です。

  1. 収入を増やす努力
     副業、資格取得、転職、事業、投資など、収入源を複数持つことでリスクを分散します。
  2. 負債を増やさない努力
     必要以上のローンや維持費のかかる物は持たない。購入前に「これは資産になるか?」を自問する習慣をつけましょう。

実践例:お金の使い方の優先順位

  • まずは生活防衛資金(生活費6か月〜1年分)を現金で確保
  • 残りは資産を生む投資に回す(株式・投資信託・不動産など)
  • 消費や浪費は、資産投資を行った上で楽しむ

この順番を守るだけで、数年後の資産額は大きく変わります。


まとめ

「お金を貯める=貯金」という考え方だけでは、経済的自由には到達できません。
重要なのは、お金を守るだけでなく、お金に働かせる仕組みを作ること。消費や浪費を必要以上に罪悪視せず、資産を生むお金の使い方を意識しましょう。そして、負債を増やさない生活習慣を持つことが、将来の安心と自由につながります。

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