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上司になるほど謙虚な心を持とう 〜昇進・昇格と本当の成長〜

上司になるほど謙虚な心を持とう 〜昇進・昇格と本当の成長〜

上司になるほど謙虚な心を持とう 〜昇進・昇格と本当の成長〜

「上に立つ人間ほど、謙虚でなければならない。」

社会人生活を重ねる中で、私はこの言葉の重みを強く感じるようになりました。昇格や昇進を果たすことはもちろん素晴らしいことです。しかし、肩書やポジションだけでは、周囲の人々を本当に動かすことはできません。結果を残せなければ意味がなく、その先のキャリアや人生においても必ずどこかで行き詰まります。私自身の経験、そして周囲の先輩方や上司たちの姿を見てきた中で、改めて痛感していることです。

謙虚さが信頼を生む

昇進すればするほど、周囲からの注目は集まります。そしてそれは、期待と同時に厳しい評価の目でもあります。上に立つ立場になった瞬間から、自分が評価する側になると思われがちですが、実際には「自分こそがもっと評価される側」になるとも言えるのです。部下は上司の一挙手一投足をよく見ています。態度が高圧的であったり、自分の失敗を認めない上司には、やがて誰も本音を言わなくなるでしょう。

謙虚さとは、ただ控えめにすることではありません。「自分が正しい」と思い込まず、周囲の声に耳を傾ける姿勢。自分より若い人、経験の浅い人からも学ぼうとする心。それが信頼を生みます。

私がかつてお世話になった上司は、常に「君はどう思う?」と意見を聞いてくれる方でした。たとえ自分が明らかに答えを持っていても、私の考えを一度受け止めてくれたのです。その姿勢がどれだけ心強かったか、今でも忘れられません。自分の存在を尊重されることで、部下はさらに成長意欲を持ちます。逆に、威圧的で自分の意見しか認めない上司の下では、部下は委縮し、成長の機会を失います。

結果を残してこそ、周囲はついてくる

「昇進しただけで満足してはいけない。」

この言葉は、私自身の痛い経験からの教訓です。以前、昇格した直後、私は「上司」という肩書きに少し酔っていました。しかし、部下に指示を出しても、思うように動いてくれない。会議で話しても、どこか空気が重い。原因は明らかでした。私は「上司だから言うことを聞け」という態度を無意識に出してしまっていたのです。

上司になった瞬間に周囲がついてくるわけではありません。やはり、成果を出し続けることが必要です。数字や実績を示すことで「この人についていけば間違いない」と思ってもらえる。結果を残して初めて、人はその上司に信頼を寄せ、ついていこうとするのだと実感しました。

ある調査によると、日本のビジネスパーソンが「理想の上司」に求めるものとして最も多いのは「人間性」と「仕事の実力」の両立だそうです。つまり人柄だけでも、実績だけでも不十分なのです。謙虚さと結果、どちらも必要であり、そのバランスこそが上司としての真価を決めます。

部下の育成が、自分の成長につながる

上司という立場は、単に仕事を回すだけではありません。部下を育成する責任があります。育成というのは、相手を自分の思い通りに動かすことではありません。部下自身が「自分で考え、自分で動けるようになる」ように導くことです。

私が尊敬する伊藤忠商事の元会長・三和(ミワ)宇一郎さんも、かつて「仕事は人生だ」と語っておられました。単なる労働時間の切り売りではなく、人生をかけて取り組むものだという意味です。だからこそ、部下が自分の仕事にやりがいや誇りを持てるように支えるのが、上司の務めだと思います。

一方で、育成は上司自身にとっても大きな学びの場です。教えることで、自分の知識が整理される。部下の質問で「自分はわかっていなかった」と気づかされることもあります。人を育てることが、結局は自分を育てることにつながるのです。

中途半端に居座ることの危うさ

昇格や昇進が進む中で、周囲はどんどん変わっていきます。同期が本社に異動したり、転職して別の道に進んだり。特に昨今の転職市場は活況であり、優秀な人ほど自らチャンスをつかみに行く時代です。

最も危険なのは、何も決断せず、ただ惰性で会社に留まることだと私は思います。結果を出すわけでもなく、新しいことに挑戦するわけでもなく、「このままでいいか」と流されてしまう。気づけば周りがどんどん先に進み、自分だけが取り残される。これは精神的にもつらい状況です。自分自身を見失い、仕事がただの苦痛になりかねません。

だからこそ、自分の目標を常に見据え、変化を恐れず、行動することが大事です。変わらない日常の中に成長はありません。もし今の仕事が好きなら、さらに深く極めるのもいいでしょう。もし違和感があるなら、新しい挑戦を模索するのも一つの道です。いずれにせよ、「自分はここでどう成長するか」という問いを持ち続けることが必要です。

仕事を人生と思え

「仕事はつらいものではありません。仕事は人生と思え。」

これはまさに私が心に刻んでいる言葉です。三和宇一郎さんのおっしゃる通り、仕事とは人生の多くの時間を費やすものです。どうせやるなら、嫌々取り組むのではなく、そこに意味を見出したい。やりがいを感じ、成長を楽しみたい。それこそが、人生を豊かにする道だと思います。

とはいえ、仕事は時に厳しく、苦しいこともあります。私自身、失敗や叱責に落ち込んだことは何度もあります。しかし、逃げずに向き合った経験が、後から必ず自分の力になりました。そして振り返ると、あの時頑張った経験が今の自分を支えていると確信できます。

仕事を「ただ生活の糧」としか考えない人もいます。しかし、人生の大半の時間を仕事に費やす以上、そこに意味を見出せるかどうかで、人生の充実度は大きく変わると私は思うのです。

最後に

昇格や昇進は、ゴールではなくスタートです。上に立つほど求められるのは謙虚さであり、結果を出す実力です。そして、人を育てる覚悟。もし今、昇進の壁に悩んでいる人がいたら、ぜひ「上司とは何か」という問いを自分に投げかけてみてください。肩書ではなく、中身こそがあなたを上司にします。

周囲がどんなに変わっても、変わらないのは「自分がどう生きたいか」という問いです。仕事を人生と思い、一歩ずつでも成長を重ねていきましょう。きっと未来は自分次第でいくらでも変えられます。私もこれからも、謙虚な心を忘れず、前に進んでいきたいと思います。

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